赤い花のソバ高嶺ルビー

高嶺ルビーは濃いピンクの花を咲かせる珍しい蕎麦の品種です。花の色が宝石のルビーに似ていることからその名がつけられた、世界一花が赤いソバです。

高嶺ルビーのルーツはネパールのヒマラヤ山脈、チベット国境に近いムスタン地方にある、標高約3800mの村に咲いていた名も無き“赤い花のソバ”でした。この品種をもとに、タカノ株式会社と信州大学が何年にも渡る研究の末、日本の風土に合う、貴重な品種「高嶺ルビー(1993年登録)」が誕生しました。

高嶺ルビー畑が広がる光景は、赤い絨毯のようで壮観です。

赤い花の秘密

高嶺ルビーの原種が咲いていた標高約3800mの地域は、強烈な紫外線が降り注ぎ、また、昼夜の寒暖の差も激しいため、ほとんどの作物はうまく育たないような場所です。このような厳しい自然環境から身を守るために、高嶺ルビーの原種はアントシアニンという赤色のポリフェノールを蓄え身体を守っていたと考えられています。このポリフェノールこそが高嶺ルビーの花が赤い理由なのです。

〇栽培のポイント

高嶺ルビーは普通のソバ品種と同じで大雨に弱く、土に水が溜まるような場所では栽培に不向きです。また、暑い時期(6~8月)には、花の色が薄くなるという特徴があります。高嶺ルビーは冷涼な気象条件だと元気に育ち、特に9月~10月の霜が降りる前には花の色が濃くなります。肥料はあまりいらないので、園芸培土を入れたポットなら、そのまま土に播けば倒れずに丈夫に育ちます。お庭などで土に直接播いても良く育ち、花を楽しむことができます。ソバは自家受粉せず、他の固体からハチやチョウによって花粉が運ばれ受粉することで種子がつきます。日差しは強くてもかまいません。湿害だけ注意すれば場所を選ばずに栽培できるのが特徴です。 

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高嶺ルビーの活用事例

〇高嶺ルビーで町おこし 箕輪町「赤そばの里」

高嶺ルビーは、景観作物として、全国の公園や休耕田、町おこしイベント用など、幅広くご利用いただいております。その中でも、最も広い面積で取り組んでいるのが長野県上伊那郡箕輪町です。

箕輪町では、イノシシなどの食害により遊休荒廃地になっていた農地の活用を目指すべく、高嶺ルビーの栽培が平成9年から始まりました。地域住民で構成された「古田の里 赤そばの会」が主体となり栽培活動を続け、今では4.2haの広大な土地一面に高嶺ルビーが咲き誇るようになりました。箕輪町は「赤そばの里」として認知度も高まり、花が咲く9月中旬から10月上旬には、全国から約3万人の観光客や写真家が訪れます。緩やかな斜面に咲く高嶺ルビーはまさに赤い絨毯のようで、その景観は圧巻の一言です。

〇見て楽しい、食べておいしい赤蕎麦

高嶺ルビーは一般的な白花蕎麦に比べると、玄そばとしての収量が約1/3と低いため主に景観作物として利用されておりますが、もちろん蕎麦としてもおいしくいただくことができます。箕輪町では、赤そばの里で期間中開店するそば処「古田の里」をはじめ、町内複数店舗で、例年9月頃から赤蕎麦が食べることができ、町おこしを後押ししております。風味高い赤蕎麦の味、ぜひとも一度味わってみてはいかがでしょうか?

〇新しい高嶺ルビーの楽しみ方

「高嶺ルビー」をさらに楽しんでいただこうと、各社、創意工夫をこらし様々な商品が誕生してきました。ここでは、「赤そばビール」と「高嶺ルビーはちみつ」をご紹介します。

【赤そばビール】

箕輪町のレストラン&カフェ「やまびこテラス」では、地元の素材でビールを作り、町の新たな名産品にしようと、赤そばビールの開発が始まりました。麦芽とホップとのバランスや赤ソバの実を加えるタイミングなど試行錯誤を繰り返し、そばのほんのりとした香りと甘みが広がるビールが完成しました。女性にも飲みやすいと好評とのことです。レストランに隣接する農産物直売所「ファームテラスみのわ」ではお土産用の瓶ビールが購入可能です。

【高嶺ルビーはちみつ】 

タカノ㈱では、高嶺ルビーの蜜の味を味わっていただこうと、日本ミツバチによる採蜜を行っております。日本ミツバチは人間に飼われることを好まず、扱いが非常に難しい蜂です。また、蜜を絞る回数も年に一度きりな上、採れる量も少ないため「幻のはちみつ」と言われております。その味わいは非常に上品で、コクがありながらも蕎麦はちみつ独特のクセが少ないのが特徴です。タカノ㈱が自信をもっておすすめする蜂蜜になります。タカノ㈱のHPより購入することができますので、ぜひ一度お試しください。

→詳しくは はちみつのページをご覧ください。

「高嶺ルビー」は景観作物ながら、様々な活用ができる品種になります。また、ご家庭の栽培も簡単で、気軽に楽しむことができます。日本で唯一の赤い花が咲く蕎麦「高嶺ルビー」、皆様のそれぞれの楽しみ方で堪能してみてください。